発酵性食物繊維ってなんだろう?

店主
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先日、テレビのワイドショーで「発酵性食物繊維」という言葉が出てきました。

「発酵食品」とは違います。

その辺のところも含めて、先日の京都府立医大内藤先生のテレビの内容と、内藤先生の他の記事も参考に、整理してみた!

京都府京丹後市の場合

京都には、健康長寿の地域があるそうで、

詳しく調べて見ると・・・

  • 満100 歳以上の高齢者が 126 人と全国平均の3倍!(人口比)

  • 大腸がんの罹患率。京丹後市のある丹後地域は京都市などの6割!
    (40%も少ない!)

  • そして高齢者の「血管年齢」全国平均より10歳ほど若い!

すごい!

なんでだろう???と、食生活に注目してみると、

多くの京丹後市の高齢者は

  • 「玄米ご飯」をほぼ毎日食べている。

  • 「いも類」をほぼ毎日食べている。

  • その他、アゴのだし汁、わかめの佃煮、黒豆などなども毎日食べている。

こういった、昔からの食生活が健康長寿に関係しているのではないか!?ということだそうです。

そして、研究で明らかになってきたのは、食生活の中の、

「発酵性食物繊維」「良質のタンパク質」の2つが重要になってるのは間違いないとのこと!
(良質なタンパク質として、と大豆製品、納豆等、そして、鶏肉(赤い肉じゃない)があげられていました。)

ここで、「発酵性食物繊維」という言葉が出てきました。

(おさらいと最近の研究例)食物繊維、そして短鎖脂肪酸に注目してみると…

その前に、食物繊維についておさらいしてみると…

ます、腸内細菌の中でも、ビフィズス菌をはじめとする有用菌は、食物繊維などの炭水化物を利用する菌です。

糖もエサにしますが、でんぷんなどのヒトが消化できる多糖(=糖がたくさんつながったもの)は小腸で吸収されて腸内細菌のもとまで届かないので、

腸内細菌は、ヒトが消化できずに大腸に流れてきた食物繊維を分解してエサにして増殖します。

そして、これらの菌が増えると、酢酸や酪酸などの「短鎖脂肪酸」が大腸内で増えることがわかっています。

そして、その「短鎖脂肪酸」は、

  • 短鎖脂肪酸は腸内を酸性にして有害な菌が増えにくい環境をつくったり、

  • 腸管の内側を覆う細胞を強くして、異物の侵入を抑える腸管バリア機能を維持したり、

  • さらに、近年の研究では、アレルギーや炎症などの過剰な免疫反応を抑制したり、

  • 脂質代謝を改善したり…

このようなことが明らかになってきました。

ひと昔前は、「食物繊維」に期待する効果といえば、便通改善や、大腸がん予防くらいでしたが、

2000年代に入り腸内細菌研究が飛躍的に進むと、さらに、「食物繊維」として以下のような研究も…

  • 食物繊維摂取量と心筋梗塞脳卒中循環器系疾患2型糖尿病といった生活習慣病などの発症が抑えられることがわかってきた。

  • また、近年では、大腸以外のがん総死亡リスクとの相関を示す調査報告が世界各国から相次いでいる。

  • 日本人を対象にした調査では、国立がん研究センターの多目的コホート「JPHC研究」からは複数のがんと食物繊維摂取量との関連を示す報告がある。

  • 筑波大学の研究チームは、食物繊維の摂取量が少ない人は認知症発症リスクが高いと報告している。

(補足) いろいろな研究の中でも大きなインパクトがあるのは…

いろいろな研究の中で大きなインパクトがあった研究は、

食物繊維の摂取量が、がんの治療薬(免疫チェックポイント阻害剤)の効きに影響するという報告!

免疫チェックポイント阻害剤を使用している、がん患者の生存率と食物繊維の摂取量の調査を行ったところ、

食物繊維を1日20g以上摂取している人たちは明らかに生存率が高かった!

免疫チェックポイント阻害剤は、日本で開発された新世代のがん治療薬として注目される薬で、免疫細胞の働きを邪魔する抗体をブロックする働きがある。
ヒトの体にはがん細胞を攻撃する免疫細胞が存在するが、一方でその免疫細胞に対して働きを阻害する抗体ができてしまうことがある。
その抗体の働きを邪魔するのが免疫チェックポイント阻害剤。
代表的なものに「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」がある。

そして、食物繊維の分類は新たな考え方へ【発酵性食物繊維】

これまで、食物繊維の機能を考える際の分類は、「水に溶けるか、溶けないか」という「物性」によって分けることが多かったのですが、

上記のように、炭水化物の発酵で増える短鎖脂肪酸の機能が明らかになってきたことにより

物性よりも「いかに発酵させるか」に着目する研究者が増えてきたといいます。

これからは高発酵性低発酵性か、つまり腸内細菌が利用できるかどうかが重視されるようになってくるといわれています。

つまり、短鎖脂肪酸をつくりやすいのが、高発酵性食物繊維(High MAC)!

   MAC(microbiota-accessible carbohydrates=腸内細菌が食べる炭水化物)

一般的に水溶性食物繊維のほとんどが腸内細菌によって利用される“発酵性”の食物繊維です。

そして、植物の細胞壁を構成するセルロースなどの不溶性食物繊維の多くは“非発酵性”です。

ただし、不溶性食物繊維がすべて非発酵性ではなく、

中には米ぬかや小麦の外皮、トウモロコシ、ライ麦、オーツ麦などに含まれるアラビノキシランのように、不溶性であっても腸内細菌によって発酵されるものもあります。

こういった食物繊維の有用な機能を見逃さないためにも発酵性・非発酵性と分類することは重要なのだそうです。

ちなみに、

物性で分けた場合の食物繊維の働きは

  • 水に溶けない「不溶性食物繊維」には便のかさを増やし、腸内の有害物質の排出を助けるという特徴があり、

  • 水に溶ける「水溶性食物繊維」には糖の吸収をゆるやかにしたり、脂質の吸収を抑えるという特徴があります。

発酵性食物繊維が多い食品は?

 欧米では、すでに発酵性食物繊維は「MAC(microbiota-accessible carbohydrates=腸内細菌が食べる炭水化物)」と呼ばれ、

発酵性食物繊維を多く含む食品はHigh MAC(高発酵性食物繊維)食品として、他の食品との差別化が図られているそうです。

一般的な水溶性食物繊維のほか、穀物に多い不溶性のアラビノキシラン、レジスタントスターチという難消化性のでんぷんも含まれます。

発酵性食物繊維は全粒穀物果物野菜キノコなどに多く含まれます。

特に毎日の主食となる穀物での摂取が重要で、欧米ではシリアルやオートミールをたくさん食べるので、食物繊維がたくさんとれているようです。

一方、日本人の食物繊維摂取量が少なくなってきた理由のひとつに、米から食物繊維が豊富なぬかを除去した白米を食べていることがあります。

ここを取り戻すためには、毎食とはいわないので、3食に1回は玄米雑穀を混ぜる――など少し工夫が必要かもしれません。

発酵性食物繊維が多い食品一覧

お腹がゴロゴロするのは発酵スピードが関係?

ところで、一方で、腸が敏感な人は、発酵性食物繊維の豊富な食品を食べるとお腹がゴロゴロするのでは?と、心配されるかもしれませんね。

FODMAP(フォドマップ)という言葉もあります。

FODMAPというのはオリゴ糖やラクトース、フルクトースといった糖の結合数が少ない発酵性炭水化物のこと。

発酵によりできるガスが腸の刺激になるからと、腹痛や下痢などの便通異常のある過敏性腸症候群(IBS)の人は避けるようにいわれることがあります。

そのため、発酵が腸に悪いというイメージを抱いている人もいますが、

発酵自体が腸に悪いわけではなく、

糖のつながりが短いFODMAPは腸内細菌による発酵スピードが速いため、

急激にガスが発生し、人によってはお腹が張ったり痛くなることがあります。

あくまでも発酵スピードの問題で、FODMAPがイコール、High MACということではないので、ここも注意するとのこと。

 腸に不安がある人は、発酵スピードの速いオリゴ糖などは避けた方がいいかもしれませんが、High MACでも消化や発酵がゆっくり進む食品であれば問題がないということ。

Fermentable oligosaccharides, disaccharides, monosaccharides and polyolsの略。
小腸で消化・吸収されにくい短鎖の炭水化物で、オリゴ糖や単糖など、発酵スピードが速い。
タマネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、セロリ、アスパラガス、キムチ、納豆などに多いといわれている。

大事なのはいろいろな食品を食べること。

発酵スピードの異なる食物繊維であれば急激にガスが発生することはないし、

広い範囲で発酵が起こることで、有用な菌が増える範囲も広がるのではないかと考えられています。

健康に良いのは、発酵性食物繊維だけではありません!
腸内の有害物質の排出には非発酵性食物繊維も必要です

腸内細菌も食事も多様性が大事!!

そのためには一つの食材にこだわらず“多様性のある植物食材”をとることが必要!!

手軽に発酵性食物繊維を!

日本人の食物繊維量は圧倒的に足りていないといわれています。

忙しい毎日の中で、新鮮な野菜を豊富に取るというのはなかなか難しいと思います。

当店では、手軽に摂れる食物繊維もご案内しております。

気になる方は、ぜひお問い合わせください!