三七人参(田七人参)について調べてみました。
三七人参(田七人参)の名前について
「三七人参(田七人参)」には、いくつかの呼び名があり、「三七人参」「三七」「田三七」「田七」などと呼ばれています。
また、非常に高貴な生薬であることから、「金不換(金にも換えがたい)」という名もあります。
(宮廷への献上品、軍の特需品としても珍重されました)
また、「三七」というのは、地上葉が三つの葉柄にそれぞれ七枚の葉がつくことから呼ばれているようです。
今回は、ややこしくなるので、三七人参という呼び方に統一しました。
ミャオ族と三七人参
中国雲南省壮族苗族自治州には主に「壮族(ツァンズ)」と「苗族(ミャオズ)」というつの少数民族が住んでいます。
かつては「壮族」は水辺に、「苗族」は山岳に住み分けていました。
苗族は狩猟民族でした。
狩猟の途中で怪我をして出血した時に、噛み砕いて傷口に湿布すると、出血は止まり、傷□はぴったりとくっついて、まるで漆を塗ったようにきれいになる薬草があり、これを「山漆」と呼んでいました。
中国語で「山漆(サンチー)」は「三七(サンチー)」とおなじ発音です。やがて山漆は三七と表記されるようになったとさ。。。
三七人参とは
『三七人参』はベトナムと国境を隣接する、中国雲南省 文山州中心に栽培される、ウコギ科ニンジン属の多年生草本です。
雲南省の少数民族『苗族(ミャオゾク)』が伝承薬として栽培してきたものです。
学名は、パナックス・ノトジンセン。
「パナックス」はギリシャ語の『万能薬』の意味で、『ノト』は『南の』、『ジンセン』は「人参」のことです。
直訳すると「万能薬の南の人参」となります。
中国最後の秘薬と言われている三七人参は薬用人参(朝鮮人参、西洋人参、シベリア人参など)の一種です。
三七人参は薬用人参の王様と言われ、主成分のサポニンは朝鮮人参の数倍多く含まれています。
中国は西南の雲南省 文山周辺、北緯23.5度付近、標高1200~2400mの弱酸性の土壌でしか栽培することが出来ません。
その薬効の幅広さから、金不換(金にも代えがたいほど貴重な物)とも呼ばれています。
三七人参の等級
三七人参は、3年で収穫され『何個で500グラムになるか』という『重さ』で等級が決まります。
最上級品 20頭根 は全体の4%ほどしか収穫できず大変貴重な優等品です。
三七人参の歴史
諸葛孔明が重用した生薬
諸葛孔明は三七人参を常用していて、戦場で兵士たちの傷の手当てに用いるとともに、兵士の滋養強壮のために孔明鍋(三七汽鍋鶏)を作ったと言われています。
ベトナム戦争でその名を知られた》
1960年代に起きたベトナム戦争で、アメリカ軍との銃撃戦で死傷したはずの北ベトナム軍の兵士が、不死鳥のように蘇ってきたのです。
この時にベトナム軍兵士が使っていたのが『雲南百薬』という三七人参を80%含んだ中国の薬でした。
このことで、三七人参はその名を欧米に知られることになりました。
《中国陸軍の軍需物質》
質の良い大きい三七人参は軍需物質として接収され、軍隊や医療機関の専用品とされていました。
また一般の三七人参も冷戦や紛争が続いていた時代には『禁輸出品目』でした。
日本に三七人参が輸入されるようになったのは、1978年の日中平和友好条約が締結されてからです。
中国古書に見る三七人参
中国の古書で最初に三七人参が掲載されたのは、1378年「仙傳外科方集」とされています。
その後、明代の社会安定で、中国各民族の文化、経済、商売の交流が盛んになり、漢民族の知るところとなり「本草綱目」(1578年 李時珍著)に記載され、広く使われるようになりました。
【性味】温甘微苦毒なし
【効用】止血、散血、定痛、消踵
(血を止め、血を散らし、痛みを取り、腫れを消す)
一切の血病を治す
「本草従新」 (1757年 呉儀洛著)には「血に関しては神薬である。補薬と組み合わせると妙効を発揮する」と記されています。
三七人参の主成分
サポニン
トリオール系ジンセノサイドRg1(興奮・刺激型)…中枢神経に興奮的に働く
●脳の中枢神経を興奮させる作用(食欲増進など)
●疲労回復作用
●血小板凝集抑制作用
●骨髄細胞のDNA、RNAの合成促進作用(貧血改善など)の働きがあります。
ジオール系ジンセノサイドRb1(鎮静・抑制型)…中枢神経に抑制的に働く
●血清蛋白質の合成促進(アルブミンの増大など)
●中性脂肪の分解抑制と合成促進(インシュリン様作用)
●コレステロールの整合性促進作用(LDLの減少、HDLの増加)
●脳の中枢神経抑制作用(摂食抑制作用など)
●催眠延長作用
●鎮痛作用
●解熱作用
●精神安定作用
●血管拡張作用(血圧降下)
などの働きがあります。
三七サポニンR1(三七人参特有サポニン)
●血液浄化作用、血栓溶解作用
●心血管システムの保護作用
●A型肝炎病毒抗原の免疫性を高め、肝臓微循環細胞損傷の改善作用
●神経保護・鎮静作用
●子宮頸がん細胞、白血病細胞、ヒト結腸癌由来株化細胞の増殖抑制作用
などの働きがあります。
その他の有効成分
三七ケトン
冠動脈を拡張し心臓への血流を増やす作用や、血管の透過性を抑制し血管を強化し、ヒスタミンの作用を和らげ、殺菌作用、消臭作用、抗がん作用、利尿作用などがあります。
デンシチン
止血成分
三七多糖
免疫細胞を増やし活性化する成分
植物ステロール
抗酸化力、免疫力を高めます
アミノ酸
必須アミノ酸はじめ、多くの種類のアミノ酸が含まれています。
特に、一酸化窒素を作り血管拡張や強精作用に関係する「アルギニン」や、眠りのホルモンであるメラトニンの原料となる「トリプトファン」が多く含まれています。
ビタミン類
ビタミンB群、C、E、Kなど
ミネラル類
食物繊維
三七人参の働き
代表的な三七人参の作用
1、止血(血を止める)
眼底出血、下血、不正出血、脳内出血、外傷性出血
2、散血(血流を改善する)
婦人病全般、心臓疾患、脳疾患、生活習慣病など
3、定痛(痛みを鎮める)
頭痛、肩こり、腰痛、膝や指の関節の痛み、生理痛など
4,消腫(腫れを抑える)
打撲、新生物(筋腫、嚢腫)むくみなど
その他
・免疫力増加・利尿作用・疲労回復・造血作用・強精効果など
自律神経の安定作用
三七人参と血流
血液・血管の大掃除
人間の体には地球2周半分の血管があり、1日にドラム缶40本分の血液が巡っています。
なかでも99%は髪の毛よりも細い毛細血管です。
ストレスや偏った食生活などが続くと、血液はドロドロになり全身に血液が行き届かず、体に様々な不調があらわれてきます。
健康を保つには、きれいな血液が全身に流れていることが基本です。
三七人参は「一切の血病を治す」と言われており、ドロドロになり汚れた血液をサラサラに変え、血の滞りをなくし血流をスムーズにする作用があります。
また、血液循環を妨げる血小板凝集を抑える作用や、血管拡張作用も認められており、全身に綺麗な血液(栄養・酸素)を巡らせてくれます。
まさに血管・血液の万能プレイヤーで、私達の健康や生命を守るために色々な役割を果たしてくれます。
三七人参と肝臓
肝臓の働き
肝臓は体の中で-番大きな臓器です。
その働きは、
●体に必要な蛋白の合成・栄養の貯蔵
●有害物質の解毒・分解
●食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌などです。
何千という酵素を使い、500以上の複雑な化学変化を起こしています。
肝機能が低下すると…
肝臓は痛みなどの症状が現れにくいため「沈黙の臓器」と呼ばれていますが、肝機能が低下すると、
体がだるい、
疲れやすい
食欲がない、
手足のむくみ、
なのどの症状が出てきます。
ひどくなると黄疸、腹水などが出てきます。
肝臓に対する働き…
三七人参は漢方のインターフェロンと称された「片仔廣」の主成分ということから日本で有名になりました。
働き者の肝臓で生じた活性酸素を除去する作用、
炎症を抑制する作用、
肝細胞を保護・再生する作用、
血流量を増加させる作用
などで肝臓を元気にします。
三七人参と腎臓
腎臓の働き
腎臓は肝臓にも負けない働き者で、1日に200ℓもの血液をろ過し、余分な水分や老廃物を尿として排泄し、必要なものを再吸収しています。
血圧の上昇に関連する物質(レニン)や、血栓を溶かす物質(ウロロキナーゼ)、赤血球の生成を促進する因子(工リスロポエチン)など多くの物質も作っています。
腎機能が低下すると…
血液中の老廃物や不要物のろ過・排泄が十分にできなくなってしまい、
肝臓の負担が増すだけでなく、
疲労倦怠感、
貧血、
むくみ、
血圧の上昇
などの症状が出てきます。
腎臓に対する働き…
肝臓と同様に働き者の腎臓で生じた
活性酸素を除去する作用、
炎症を抑制する作用、
血栓を溶かす作用
などで腎臓を元気にします。
また、三七人参の飲用で工リスロポエチンの生産量が増えると、
酸素を運ぶ赤血球が増え、
持久力が高まり、
疲労回復が早まり、
体力増強などに繋がります。
女性の悩みに三七人参
生理不順、月経困難、冷え症、更年期障害などは、女性ホルモンのバランスの変動に、血行不良やストレスが加わっておきる症状です。
女性特有のこれらの症状は「血の道症」とも言われ、頭痛、めまい、のぼせ、肩凝り、疲労感、月経異常などの諸症状が見られます。
婦人科系疾患
生理痛、月経不順、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫など
産後…
乳腺炎・子宮復古不全(長引く出血・悪露)など
更年期症状…
イライラ・不眠・うつ・めまい・動悸.のぼせ・便秘など
美容
シミ・目の下のクマ・抜け毛・痔・アザなど
三七人参は、癖血を改善し、ホルモンバランスを調整して、これらの症状を緩和します。
また女性にとって気になる症状の改善にも役立ちます。
男性の悩みに三七人参
女性はもちろん、男性も更年期障害(男性ホルモンの低下)を起こし得る事が広く知られるようになりました。
女性の更年期は閉経期をはさんだ数年間であるのに対し、男性更年期障害は期間が長く、概ね40歳以降、60代、70代でも発症の可能性があります。
身体症状
疲労感、不眠、肩こり、頻尿、ほてり、頭痛、異常な汗がでるなど
精神症状…
うつ、やる気が出ない、集中力低下イライラする、不安感、など
性機能関連症状
勃起障害(ED)、性欲減退
また近年では不妊の原因の半分が男性側と言われています。
中でも精索静脈瘤は男性不妊症の約3割を占める代表的疾患です。
三七人参は肝臓を元気にすることで、自律神経を安定させ、更年期の症状の緩和に役立ちます。
また、血流を改善し、精策静脈瘤を改善することで不妊症にも役立ちます。
特に古来より天然のバイアグラとしても飲用されてきました。
血管を拡張して勃起障害を改善してくれます。
三七人参の品質
有機三七
JAS有機規格に適合した三七。
明確な標準判定が出来、最高品質のもの。
コストが高く、栽培規模も限られ価格も高い。
無公害三七
中国中薬協会で採択された「無公害品質三七残留農薬と重金属や有害物質残留限定」2003-2017に適合。
明確な標準判定が出来、安定性、安全性を保障できる。
農薬のポジティブリストに適合する。
価格は普通三七より約40~50%高く、有機三七より約40%程度安い。
普通三七
2015年版「中国薬典」に適合する。
サポニン含有量は5%以上、浸出物は16%以内、水分14%以内の規定。
2020年より農薬33品目と重金属5品目の基準が制定。
三七は栽培に3年という年月がかかるうえに、病害虫に弱いデリケートな生薬です。
そのための農薬を大量に使用して栽培する農家も多く、品質を担保するためには、栽培者を選定することが大切です。
三七人参の一生
まとめ
高品質な三七は人類の健康に貢献する!
【重要】
このブログの内容は、ネット上の記事や書籍の抜粋&意訳を元にした個人の感想・戯言であり、なんら特定の物の効能・効果を示すものではありません。